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原因1:皮膚の体質
皮膚が乾燥しやすく、皮膚を守る潤いのベールが少ないため、外からの刺激を受けやすい状態にあるということです(これを、「皮膚防御バリアーの破綻」といいます)。
原因2:外からの刺激
乾燥した皮膚に、よだれ・食べこぼし・汗・汚れ等がつく、下着やオムツのしめつけ、熱い風呂(40℃以上)に浸かる・入浴剤を使う・ナイロンタオルで洗う等々、すべて痒みの原因になります。喘息と同じくダニやホコリも重要な原因です。
アトピー性皮膚炎の特徴は、皮膚の潤い成分が不足するために、皮膚が乾燥しやすく、外から刺激を受けやすい部分や、皮膚が薄い関節の内側などに湿疹を繰り返すことで、人々を痒みで苦しめます。
この痒い湿疹を治してくれる中心的存在が、ステロイド外用剤なのです。今ではそれほどではありませんが、ひとむかし前は、ステロイド外用剤と聞くとすぐに副作用が出る、依存性があるので使いたくないと言われる方が多くいました。また、マスコミもその内容に沿った否定的な記事ばかり載せていました。
しかし、以前からアトピー性皮膚炎の治療に携わってきた専門医はこれに疑問を抱いていました。なぜなら、最も数多くアトピー性皮膚炎の患者を見ているはずの専門医は、ステロイド外用剤による副作用の経験がほとんどなかったからです。
これは、何を意味するのでしょう?
薬の副作用について、簡単な例を述べます。高血圧の患者さんが、医師から血圧を下げる薬を2週間分処方されたとします。しかし患者さんは、薬は多く飲めば早く効くと自己判断し1週間で全部飲んだとします。薬はよく効くでしょうか?効果どころか副作用が出て当然です。用法用量は正しく守って使わなければならないのです。
今度は医師です。その医師の専門は産婦人科です。そこに顔にひどい湿疹があるアトピー性皮膚炎の患者さんが受診されます。医師はアトピー性皮膚炎の知識が不十分なうえに、治療法も良くわかっていません。ただ、ステロイド外用剤に一番効果があるということだけはわかっていました。
そこで最もポピュラーな第三群(通常は体に使う)のステロイド外用剤を処方しました。しかし、どこに、どの程度、どのくらいの期間塗るといった具体的な塗り方は何も指示しませんでした。患者さんはもらった薬を塗ったところ大変良く効いたので、無くなると薬だけ医師に処方してもらい長い間塗り続けました。
しばらくは非常に調子が良かったのですが、半年後、自分の顔が妙に赤ら顔(酒さ様皮膚炎)で、皮膚がつっぱったようになり(皮膚萎縮)、若い頃にあったにきびがまた出てきました(ステロイド座瘡)。そこでまた悪化したと思い、さらに薬をもらって塗り続けました。
しかし、良くなる様子がないのでさすがに疑問に思い、専門医を受診しました。そこで初めて使用法が間違っていたことを知らされたのです。問題点は、
- 通常、第三群のステロイド外用剤は顔には使わない。まず弱いほうの第四群のステロイド外用剤を使う。
- 仮に第三群のステロイド外用剤を使ったら2〜3日でよくなるので、長くても連続して1週間以上塗らない。
- 悪化したと思われた皮膚の症状はステロイド外用剤の副作用であり、直ちに使用を中止しなければならなかった。
- 自分の皮膚の状態を医師に見せずに、薬もらいだけを続けていた。
全ての薬には副作用があることをご存知でしょうか?薬が厚生労働省の許可を受けて発売されるまでには、数多くのステップがあります。その中には、目標とする病気に効果がどのくらいあるのかだけでなく、人に対して害(副作用)は無いか?あるとすれば、どのくらいの量をどのくらいの期間投与すれば起こるのかも詳しく調べられます。またその情報の概略は薬の添付文書にも記載されています。内服薬でも外用剤でもそれは同じです。
アトピー性皮膚炎の治療薬としての塗り薬(外用剤)といっても、様々な種類があります。保湿剤として使うワセリンのように、毎日塗っても副作用が起こらないものや、ステロイド外用剤のように使い方を判って使わないと副作用が出やすいものもあります。最近、アトピー性皮膚炎の治療薬として発売された免疫抑制剤の「タクロリムス軟膏」に至っては、1回塗布量まで制限されています。
しかし、ステロイド外用剤は、随分前に発売され数多く使ってこられたせいか、どの科の医師も比較的軽い気持ちで処方しています。また、もらう患者さんも安易にもらってしまいがちです。ここに大きな落とし穴があるのです。全ての薬を全ての科の医師がわかって使っているわけではないのです。それぞれ専門分野があり、薬に対しても良し悪し含め豊富な専門知識をもっているから、その分野で治療ができるのです。
ステロイド外用剤の副作用を出さず、薬を正しく使うためにも、アトピー性皮膚炎のように長期間使用せざるを得ない人は、専門医に処方してもらいましょう。通常は、薬を処方されるときは医師から説明がありますが、もし無い場合は用法用量を詳しく聞いてください。どこに、どの程度、どのくらいの期間塗るのか?中止時期の目安は?どのような副作用が考えられるのか?医師には説明責任があります。
説明を拒否あるいは説明できない医師からは、処方してもらわないほうがよいでしょう。このことは全ての薬に共通のことなのです。
ステロイド外用剤を塗るほどでない湿疹や皮膚乾燥に対して、よく非ステロイド系消炎外用剤(ブフェキサマク軟膏など)が処方されます。ステロイド外用剤ではないので、多くの医師は軽い気持ちで出し、患者さんも妙に安心してもらうのですが、実はステロイド外用剤以上に副作用がでやすいのをご存知でしょうか?それは、「かぶれ」です。
医学用語では「接触性皮膚炎」といいます。よく見られる例では、長期間非ステロイド系消炎外用剤を塗っていると、かえって湿疹が悪化したようになります。
しかし、非ステロイドという響きに医師も患者さんも、まさか副作用なんて…という気持ちからか、そのことを考えずに使い続けてしまうのです。結果として非ステロイド系消炎外用剤による皮膚炎が起こってしまっているのです。
アトピー性皮膚炎の指導的立場にある専門医は、基本的には、外用剤はワセリンなどの保湿剤かステロイド外用剤もしくは、さきほど述べたタクロリムス軟膏で十分と考えています。むしろ、効果が期待できず、副作用の出やすい非ステロイド系消炎外用剤は、使うべきでないと考えています。






