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食品を摂取することによって、体に有害な症状を引き起こすことを
食物アレルギーと言います。
最近はそれほどでもありませんが、今でも子どものアトピーの湿疹が治りにくいと、すぐに食べ物のせいにされる方がおられます。 つまり、アトピー性皮膚炎の原因の多くが食物アレルギーによるとする考え方です。これは大きな誤りです。アトピー性皮膚炎の主症状が湿疹であり、食物アレルギーの目立つ症状の一つに湿疹があることから同一視されてしまうのです。
- 皮 膚 症 状 : 発赤、じんま疹、湿疹
- 消化器症状: 口やのどの違和感、腹痛、吐き気、下痢
- 呼吸器症状: くしゃみ、鼻みず、咳、息苦しさ、ぜいめい
- 神 経 症 状 : 頭痛、手足のしびれ、けいれん、意識喪失
- 全 身 症 状 : アナフィラキシー(生命の危機)
※以上の症状はどれもが同時に起こるわけではなく、ほとんどの場合は皮膚症状で、一部に消化器症状が見られることがあります。呼吸器症状以下はまれな症状ですが、万が一起これば大変危険な状態になり、救急受診する必要があります。
*食物依存性運動誘発アナフィラキシーについて
原因となる食物(小麦が多い)を食べて、2時間前後に運動をしたときにのみ誘発される食物アレルギーの特殊型です。
主に小学校高学年から存在し、中学生から成人にも見られます。学校で発症することが多く、給食後の昼休みの運動中や、体育の授業中に急にじんま疹が現れ、全身に拡大し、咳やぜんめいといった呼吸器症状を呈することもあります。
もし、この病気が疑われたり診断された場合は、原因食物を食べた後は3〜4時間は運動を控えることが重要です。
- 三大アレルゲン(乳幼児に多い) : 鶏卵、乳製品、小麦
- 他に果物、甲殻類(カニやエビなど)、魚類、ソバ、ピーナッツ(落花生)、大豆など
*問診
- どんな物をどの程度食べて症状が出たのか
- 食べてから症状が出るまでの時間はどれくらいか
- 初めて食べたのか、前から食べていたのか
- お母さんが食べて授乳後に出たのか
等々、詳細にお聞きすることで、血液検査をしなくても原因が推察出来ることがあります。問診は、何より大切な検査なのです。
*食物日記
問診だけからは、原因食物が推察出来ない場合は、食べた内容と出た症状の内容を、毎日日記につけていただきます。
*血液検査
最もポピュラーでよく行われますが、注意すべきことは、結果が陽性でも食べられる物がある事を知っておくことです。時には、結果が陰性でも食べられない事があるのです。
このことがよく判っていないと、血液検査の結果だけから不必要な除去をしてしまう可能性があります。
*皮膚テスト
血液検査と同様、結果が陽性=除去が必要 とは言い切れないことをわかっておかなければなりません。

アレルギーを専門にしている医師なら、誰もが認める正しい診断法は、唯一
「食物除去・負荷試験」です。
*食物除去試験
湿疹がなかなか治らず、すぐに悪化してしまい、食物アレルギーの疑いがある患者さんがいたとします。この場合、原因と考えられる食品をある一定期間 (通常は2〜3週間)完全に (加工品も含めて)除去します。母乳栄養の場合は、お母さんの食事内容からも除去します。この結果、現在の皮膚の症状がはっきりと改善し、悪化してこなければ、「原因の可能性が高い」と判断します。
*食物負荷試験
これには、いくつかの方法があります。
- 最も正確に行う方法は「食物アレルギー診療ガイドライン2005」内に示してある二重盲検法(ダブルブラインド)という方法です。これは、患者さんも医師も検査食の中に何が入っているか全く判らず検査を行うので、正確に診断できます。
- 2才程度までの低年齢児では、オープンチャレンジと言って、食べさせる内容が何か判った上で、検査を行うこともあります。
- 3才以上になると、食べる物が判っていると、食べると悪くなるという思い込みが入ってしまい、正しい評価が出来なくなることもあるので、ダブルブラインドで行うことが多くなります。
食物負荷試験は、病院内で医師の管理下で行いますが、問診や食物日記から、食物摂取により起こる症状が軽微であることが予想される場合は、自宅でオープンチャレンジを行っていただく場合があります。この場合は、いきなり一次製品から始めず、加工品から食べていただきます。量もごく微量から開始していただきます。チャレンジは1日1回、万が一のトラブル時にも受診出来るよう、平日(出来れば月・水・金)の朝に行い、連日ではなく、必ず1日以上あいだをおいて行っていただきます。
具体的に示しますと、食物除去試験により原因の可能性が高いと判断した食品を、入っている量が少ないものから段階的に摂取します。その結果、ある段階で(例えば、卵ならクッキー程度では問題なかったが、カステラでは食べてから2〜3時間以内に反応して)皮膚の症状が悪化したり、他の症状(消化器症状など)が出現すれば、「この食品は明らかに原因食品であり、今は、これ以上摂取してはいけない」と判断します。
※ 食物負荷試験は、アレルギー反応の程度によっては危険を伴うこともあり、アナフィラキシー等のひどい症状が出ることが予想される場合は試験を行わず、食物除去試験だけで診断することもあります。
食物アレルギー児が園や学校において正しい除去食を行うため、食物除去指示書(診断書)を提出します。
不適切な除去食を避け、アナフィラキシーを回避するための重要な書類です。
園・学校はこれを基に、食物アレルギー児の受け入れと安全な給食の提供を目指します。
日本小児アレルギー学会が作成した「食物アレルギー診療ガイドライン2005」指示書(診断書)の内容は
1. 除去の必要な食品
2. 除去する食品の詳細なリスト
3. 摂取により出現する可能性のある症状
4. 症状出現時及び緊急時の対応
5. 再評価期間
です。
以上が必要不可欠な内容ですが、一部の団体や園で作製した指示書(診断書)に、検査結果を記入する項目が入っています。
先に述べたように食物アレルギーの確定診断は、食物除去・負荷試験であり、検査の結果は参考資料に過ぎません。
又、十分な問診を行うことにより、検査が不要な場合もあります。
にもかかわらずこの項目を加えることは、しなくてよい検査を患者さんに強いることになり、又、検査結果が唯一の診断根拠であるかのような誤解を与えます。
指示書(診断書)において大事なことは、専門医が問診・食物日記・検査により除去すべき食品を推察し、食物除去・負荷試験を行うことにより確定診断をした内容を記入することなのです。
事実、全国各地で食物アレルギーの専門医が指導して作製された指示書(診断書)には検査項目の欄は一切存在しません。
このように、食物アレルギーの診断は、専門医でも慎重に行うものですが、今でも、皮膚の状態をみるだけ、血液検査の結果だけ、あるいは非科学的な方法で食物除去療法を指導する施設があります。
これは大変危険です。 乳幼児の成長発達に貴重な栄養源を不必要に除去するからです。
患者さん自身が正しい知識を身につけ、信頼のおける主治医とよく話をし、「正しい食物除去療法」を行うことが重要です。
2006年12月に一般の方向けに、日本小児アレルギー学会作成の「食物アレルギーハンドブック」
(協和企画)1,200円が発売されました。
Q&A形式で大変わかりやすく書かれています。






